必要ですか?
最後に高気密・高断熱住宅に住んでみて実際どうなのかも話すね!
私は、高気密・高断熱住宅をオススメしているのですが、「高気密・高断熱住宅は本当に必要なの?」という質問をよくいただきます
高気密・高断熱住宅とはどんな住宅なのか解説し、その必要性について議論を深めたいと思います
高気密・高断熱住宅の定義
私の理解では「高気密・高断熱住宅の定義」は明確ではありません
よく高気密・高断熱住宅にすると「夏涼しくて、冬暖かい家になる」と言う方がいますが、高気密・高断熱住宅ではなくても、夏は冷房をガンガン効かせ、冬は暖房をガンガン効かせれば「夏涼しくて、冬暖かい家になる」ことになります
これを踏まえると、高気密・高断熱住宅にすると「最小のエネルギーで、夏涼しくて、冬暖かい家になる」と言うことになりますが、この最小のエネルギーが定量的な規格になっていないために、定義があやふやになっているのです
また、高気密・高断熱住宅にするためには、どんな工事をすればよいか、例えば断熱材は何をどれくらい使うのか、気密処理はどうすればよいか、など規格化されていません
日本には、高気密・高断熱住宅に関する多くの基準があります
省エネ基準、ZEH基準(ゼロ・エネルギー・ハウス基準)、HEAT20等ですが、あくまで基準であって規格ではありません
基準の元になるのが、C値およびUA値ですが、どの値が正解なのかは、住む地域や施主さんの価値観で変わるためわからない、ということになります
C値およびUA値の詳細や各基準の詳細については、こちらの記事をお読みください
したがって、多くのハウスメーカーが「高気密・高断熱住宅」を看板に上げていますが、実際に住むと寒い、という矛盾が生じてしまうわけです
松尾設計室の松尾和也さんが「高気密・高断熱住宅の定義」について、「C値を実測した家が高気密・高断熱住宅である」とおっしゃっていました
C値を実測するということは、C値は1を切っているでしょうし、そこまでこだわる家は断熱性も高い、と言えるからです
素人の私が恐縮ですが、私も松尾さんの考えに賛同します
具体的なC値やUA値は住む地域や施主さんの価値観で変わるため定義できませんが、全体の考え方として「C値を実測した家が高気密・高断熱住宅である」と定義してもよいと考えるわけです
以降、私の記事では「高気密・高断熱住宅」とは「C値を実測した家」と定義します
なぜ今高気密・高断熱住宅が人気になっているのか?
世界的に環境問題が大きく取り上げられ、日本政府もカーボンニュートラル(脱炭素社会)を謳い、省エネに注目が集まってきており、その風が住宅業界にも吹いてると私は考えています
また、大手ハウスメーカーはZEHを推進することにより、高性能を売りにし、他社との差別化を図っていることもあります
さらに、最近になって建築家のみなさんが「高気密・高断熱住宅」の良さをYouTube等でアピールしていることも大きいと思います
次の記事で取り上げた建築家のみなさんは特に活発な活動をしています
一方、「C値を実測した家」が非常に少ない現実があります
C値を実測できる(気密性が取れる)ハウスメーカーや工務店がほとんど無いからです
大手ハウスメーカーは自社の製造ラインが構築されていますので、今さら高気密な家を建てることはできないと考えられ、今以上に高気密な家が爆発的に増えることはないと私は予想しています(ですから政府は、高気密・高断熱住宅を規格化できないのだ、と考えています)
高気密・高断熱住宅のメリットとデメリット
・最小のエネルギーで夏涼しく、冬暖かい家になる
・電気代が節約できる
・冬ヒートショックが無いため、健康に良い
・冬の結露に悩まされることが無い
・気密が良いため、換気が計画通りに行く
・防音効果が高い
・建築費が高い
・施工できるメーカーが少ない
ネット上には、誤った情報があふれています
たとえば、次のような情報です
「高気密住宅は息苦しい、湿気や臭いがこもる」
高気密になると、すき間が無いため、換気が計画通りにできます
つまり、低気密住宅よりも換気性能が良いため、息苦しいとか湿気や臭いがこもるなんてことはあり得ません
また、建築法で家の換気を0.5回/時間しなければならず、これができないと法律違反となるため、高気密で換気性能が劣ることはないのです
換気については、こちらの記事が参考になると思います
私が一番のデメリットと感じているのが「施工できるメーカーが少ない」です
いくら高気密・高断熱住宅に興味があっても、高気密・高断熱住宅を建てたいと思っても施工できるメーカーが無ければ話しになりません
私は幸いにして、コマツ住研さんに出会うことができましたが、工務店探しが一番のネックだと思います
工務店探しに関しては、次の記事を参考にしてください
高気密・高断熱の性能を得るために「建築費が高い」ことも大きなデメリットです
特に、「窓」は高機能な商品を選択しなければなりません
選択した窓は高価なのですが、その効果は絶大です
冬に悩まされていた窓の結露は、湿度を上げ過ぎない限り発生しませんし(いくら高性能な窓でも湿度を上げ過ぎ、外気温がマイナスになると結露が少し発生します)、遮音効果も抜群で、外の音は全く聞こえません
また、ヒートショックが無いため、健康に良い、と言われます
昔は震えながらお風呂へ飛び込んだのですが、今はそんなことはありません
これで長生きできるかも。。。
メリットについては、上記の通りですが、上記以外で良いのが「床下エアコン」を設置できることです
高気密・高断熱住宅の暖房設備として、断然「床下エアコン」がオススメです
ただし、設置に関しては注意が必要ですので、床下エアコンを設置したい方は、こちらの記事に目を通してください
高気密・高断熱住宅は必要ないのか?
高気密・高断熱住宅が必要か否かの判断は、施主さんが決断することです
施主さんが、気密性や断熱性よりも家のデザインやインテリア、外構などにお金をかけたいから高気密・高断熱住宅は必要ないと考えれば、必要ない、という結論ですし、一番は気密性・断熱性と考えれば、必要である、ということになります
また、とにかく安いこと、ということであれば、高気密・高断熱住宅という選択肢はなく、ローコスト住宅ということになります
私は、長期的に見て自分や自分の家族が幸せであることを目標として家を建てましたので、長期的に快適でお金もかからない家、を考えた時に高気密・高断熱住宅にたどり着きました
家のデザインやインテリア、外構などは短期的な満足であり、長期的な幸せにはならないと思ったわけです
何千万円も払って家を建てるのですから、家は絶対に「高気密・高断熱住宅である」というのが、私の価値観です
建てたい家がどんな家か決まったら、家の間取りの検討に入りましょう!
そして、家の外観のデザインに進み、いよいよ家づくりが始まるのです!
高気密・高断熱住宅に住んでみて
「快適」の一言です
どこへ行っても寒くないのは、ストレスフリーで最高です!
そうかといって、電気代がそう高いわけではありません
今はエアコンが24時間稼働していますので、電気代は売電よりも買電の方がはるかに多いのですが、おそらく通年ではゼロ・エネルギーになると思います
ゼロ・エネルギーを達成するためには、太陽光発電の設置が必須です
「太陽光発電」は付けた方が良いと以前述べましたが、詳細は次の記事をお読みください
ゼロ・エネルギーを達成できそうな理由は、「高気密・高断熱」だけではなく「高気密・高断熱」+「日射取得と日射遮蔽」によるものです
高気密・高断熱住宅になると、夏は日射遮蔽により室温が上がらないようにすること、冬は日射取得により、室温を上げることが省エネに直結するのです
「日射取得と日射遮蔽」については、こちらの記事を参考にしてください
たしかに高気密・高断熱住宅の建築費用は高かったのですが、それに見合うだけのメリットを感じています
私の選択に間違いはなかったと自信をもって言えます
最後に
今まで、高気密・高断熱住宅について詳細に解説する記事を書いていなかったため、今回以上のようにまとめました
高気密・高断熱住宅はすばらしいですので、みなさんの新築の選択に入れていただければと思います
今回は、ここまでとします
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました
では、また!